流れ星に願い事をするなら、何を願うだろうか?
ほしいものがある、おつきあいする相手がほしい…きっと誰にでも一度は経験があるのではないだろうか。
特に思春期ときめく高校生の男子ともなると
物欲よりも彼女が欲しいとお願いしたい確率の方が高い気がする。
GO毛力さん原作の「寡黙な親友がただのムッツリでした」(DeNIMO)の主人公、渋谷桜大もそんな、ごくごく普通の男子高校生だ。
えっちな彼女が欲しいと流れ星に願ったはずなのに、朝起きてみると
他人がどれだけ欲情しているかがゲージで見えるようになっていた。
そのゲージは人の性欲度合いを表しているらしく
コントロールしないと壊れ、欲望に負けて性犯罪者になってしまうというのだ。
無表情で寡黙な親友、槙のゲージはなぜか常にMAXで崩壊寸前。
親友を犯罪者にしたくないと、渋谷はカラダを張って槙を助けようと奮闘する。
テンション高めでコロコロと表情を変える渋谷に対し
その性欲ゲージの状態とは正反対に涼しさをみせる
無表情な槙のムッツリっぷりがなんともシュールで笑えてくる。
ギャグテイストも適度に盛り込まれていて、
渋谷と槙の正反対なキャラクターをうまくつかって熱と冷の温度差で笑いにする間合いがなんとも楽しい。
槙は渋谷のことが好きで、親友がそばにいたから常にゲージMAXだったという、BLではよくある展開。
でもそれに気づかない渋谷は親友の性欲ゲージの値を心配するあまり、解消する手伝いをするうちにとうとうカラダの関係をも受け入れてしまう…。
親友とそんなことして次の日、どんな顔をして会えばいいかわからないと嘆く渋谷に対し
何事もなかったかのようにポーカーフェイスを貫くあいかわらずの槙(でも性欲ゲージはMAX)
ことさらどうしたらいいか迷う渋谷の百面相がまたなんともかわいらしい。
それでもなぜだか槙をほっとけない渋谷は、念願だった(エッチな)女の子との合コン中も槙のことが気になってしまったり
やらないと決めても、結局は槙を受け入れてしまう自分にモヤモヤしてしまうところもかわいくて応援したくなってしまう。
ホント、渋谷いいやつすぎる。
槙の言動を気にしていたら、表情には出ない親友のかわいさに気づき始める渋谷。
普通に友達で、気が合って遊んで楽しければそれでよかった関係だったのに
今ではしたいこと、好きなもののさえわかりたくて知りたくて…。
カラダを重ねるときもお互いがキモチよくなれるようにもっとわかりあいたい……。
ようやく槙への気持ちに気づいた渋谷と時を同じくして、性欲ゲージも見えなくなってしまったけれど
ずっと渋谷のそばに親友としていた槙の、ずっと好きだった気持ちを我慢してきた限界が壊れてしまった。
溢れ出て止まらなくなってしまったのは、あの性欲ゲージではなく、好きのバロメーターゲージだったのかもしれない。
寡黙で無表情だった槙が涙を流しながら渋谷への気持ちを必死に伝える姿が本当にかっこよくて美しくて素敵だった。
そんなお前だからなんとかしてやりたかったんだっていう渋谷も
槙の言いたかった気持ちを言葉でもらえてホッとしたのか、告白されてから抱かれている表情が本当に幸せそうでキュンキュンきた。
テンポもよくて、
読み出したら一気に最後までノンストップで読み切ることができるのもアホエロのいいところ。
エッチの描写もなかなかに見応えあるので、BLに馴染みがない方にはドキドキがより追加されてしまうかもしれないが
何も考えずに読める、ストレス解消できてしまうくらい、読んだ後の爽快感と充実感があるので
考え事でモヤモヤしたりスッキリしたいなって思ってる人に是非とも読んでいただきたい作品だ。