この作品は、絶対BLになってしまう因果律が働いた世界に
生まれた主人公(俺/巨乳好き)が
自身のBL展開を回避すべく、世界の因果と戦う物語。
と書くと壮大な物語に聞こえますが、実際は軽めのギャグ漫画。
イケメンの幼なじみ(男)に告られ
ときめいてしまった平凡顔(男)といったありがちなBL展開。
ゴミ捨て場に落ちている人(男)を拾って帰る親切な人(男)という
これまたありがちなBL展開。
道行く人(男)にぶつかってしまったら一目ぼれされる(男)という
これもまたありがちなBL展開。
そのどれもが当事者として自分に降りかからないよう
のらりくらりとフラグを回避し叩き折り
数少ない女子とのエンカウントを狙っているのが主人公である、俺。
ある日を境に自分が生きる世界が
BL漫画の世界だと気づいてしまった主人公は、無事BL展開を回避できるのか…!?
このお話は、いわゆる「BLあるある」のギャグ仕立て。
どギついエロシーンは一切なし。
BL初心者の方でも挑戦しやすいギャグ漫画になっています。
あまりBLであることを意識せずさくさく読んでいけます。
逆にBLに詳しい方にとっては「あー、あるある」と頷きながら楽しめる作品。
二次創作をしている方にとっては
「そういえば同人誌の展開これにした」なんてシチュエーションもきっとあるはず。
ストーリーは主人公である俺の視点から展開されていきます。
なぜか周りにイケメンが多い。
なぜか女子の顔がぼんやりとしている。
なぜかヤりたい女子の話が抱ける男の話にすり替わっていく。
そんな世界の中、
平凡なモブ顔を持って生まれてきた主人公は、
自分がBL漫画の世界に生きていることに気づいてしまいます。
普通に巨乳が好きなのに、BL漫画の世界に生まれてしまったかわいそうな主人公…!
その日から、主人公のBLフラグ回避生活が始まりました。
BLフラグ回避とは言いましたが、
主人公自身がラブの対象として熱視線を送られることはほとんどありません。
それは、主人公がいわゆる「モブ顔」のため。
周りのイケメンたちを引き立てるようふるまい、
常に第三者になるよう動いていく。
それがBL世界でBL展開にならない秘訣。
うっかりフラグに巻き込まれそうになったときは、敏感に危険をキャッチ。
気づかぬふりしてフラグが立つことを防いだり
周りのイケメンにフラグを擦り付けたりと、事前のフラグ回避に余念がありません。
「些細なことで立ったフラグはほかの出会いで塗り替えられる」。
「要は他人に丸投げである。2人お幸せに、グッドラック、幸あれ」。
これはモブ顔であることを活かした、主人公最大の処世術なのです。
もちろん、フラグ察知のために勉強は欠かせません。
主人公の情報源はBL漫画。
恋愛に発展しがちなシチュエーションを学ぶため
大学生・現代もの・バイト・幼馴染といった自分に身近なジャンルのBL漫画を読み漁り
日々BL展開に対する知識を深めています。
「世界を倒すにはまず相手をよく知ることが大切なのである」。
BL漫画の主人公がBL漫画を読む。しかも、BLフラグ回避のために。
そんな矛盾した努力の上に、主人公の平穏(?)な日常は成り立っているのです。
この漫画は、くすっとした笑いを求める方にぴったりの作品。
オムニバス形式のため、どこの話から読んでも大丈夫。
ちょっとした隙間時間でも読み進めることができるお手軽さと、くすっと笑える確かな面白さがこの作品の魅力です。
話の主軸にBLがありますが、セックスもなければキスもない。
BLがテーマのギャグ漫画として軽い気持ちで挑戦できる漫画です。
疲れた時、毎日がつまらないなと感じた時に、ちょっとくすっと笑わせてくれる、そんな作品なのです。