タイトルと表紙から、これはもしや身分違いの悲恋もの?とドキドキしながら無料サンプルをポチリ。
ところがページを開くと、なんだかやけに元気なヒロインが登場です。
そこから物語は怒濤の展開で、金髪碧眼なイケメン公爵にヒロインがお姫様だっこされたり、なぜかお嫁さん役を演じるためにと大奮闘。
何やらおもしろ愉快な予感がしたので、迷わず今度はDL購入をポチリとしていました。
舞台は明治時代の日本。
父親の形見であるブローチを取り戻すため、果敢にも公爵邸へと不法侵入を試みた主人公の明(めい)は
骨董品―アンティーク―貿易を仕事とする超イケメン公爵・ランスウォルと出逢います。
ところが明はブローチを譲り受けるのと引き換えに、ランスウォルが日本にいる間の“立派なお嫁さん役”を果たすと約束してしまったのですが……?
屋敷へ突然押し掛けて来たおかしな少女を、どうしてランスウォルはそばに置きたがるのかな?と
最初は少し不自然さを感じますが、一生懸命な明の姿を見ているうちにあまり気にならなくなりました。
物語は確かに身分違い設定でしたが、アンティークへの優れた鑑定眼を持つ明の思いと前向きな姿は強く
けな気で、さらにお嫁さんとして間違った方向の努力やニブさっぷりに元気や笑いをもらえます。
また本音を見せない女ったらしなランスウォルが、まれに普段と違った表情を明にだけ見せる場面では、思わず床をゴロンゴロンと転がってしまう萌とパンチ力がありました。
さらに明の前では美形でかっこいい姿を演じてますが、身内の前では明への独占欲がダダ漏れで、いわゆるギャップ萌(?)が痛過ぎで笑えます。
例えば古い洋館に出掛けた時に、最初こそオバケが怖いとヘタレ気味なランスウォルでしたが
明のピンチに怖さを忘れ駆けつけると
「あなたを見つけるのに夢中で怖いなんて忘れてました」と
その甘い台詞ととろけるような笑顔にはうっとりしました。
きれいで可愛い絵柄はとても親しみやすく、表紙カラーの美しさに惹かれる方も多いのではないでしょうか。
また作中ではアンティークについて判りやすい説明とともに、
贋作を巡る謎なども盛り込まれているので、お話としての深みや読み応えがあると思います。
さらに大正時代独特のハイカラ女子の服装はどれもが可愛くて
日本を舞台にしながらドレスや王子様っぽいキャラが次々と登場するのもうれしいポイントです。
そして鉄板ではありますが、明とランスウォルの恋は一筋縄ではいかず、美しいフィアンセや王子様などがふたりの間をさえぎります。
他にも様々な登場人物らの恋が作品を彩ってくれ、作中に散りばめられたギャグもかなりキレッキレなので、どこを読んでもとにかく楽しめる作品です。