兄妹関係のストーリーを探していたところ、可愛らしい絵に引き込まれて、購入、熟読してしまいました。
普段あまり、可愛らしい絵の作品は読まないのですが、神寺先生の余白や、行間に感じる、独等な切なさが、単なる兄妹エッチ漫画とは違う空気をかもし出していました。
あゆみと義之。妹と兄。いつからか、義之があゆみを特別な存在だと感じていた。ついにあゆみが寝ているところを抱き寄せてしまう。
してはいけない…そう思う一心の義之だが、あゆみへの特別な感情はとまらない。
一方、あゆみは兄と特別な関係になったことに動揺を隠せずにいた。
そんなとき、あゆみの担任である「先生」があゆみと義之の関係を知ることになってしまう。
セリフ1つ1つの行間と、作品の全体に見られる「切なさ」にグッときました。
もはや、兄妹という関係は全く意味をなさず、幼い男女の行き場のない感情、愛情、性衝動。
その中に、1人の大人の男が介入したときの複雑な心持ち。
単なる兄妹愛ではなく、複数の方面から深い愛情を感じた時、人はどうなるのか…
という人間心理を味わえる、なんとも深い作品でした。
一見して絵は幼く、偏りがあるのですが、描かれている内容は、人間の奥深いところを突いているような気がしました。
10代から40代、50代まで、幅広く感情移入できる作品なのではないか、と思います。
登場人物設定よりも、感情の起伏や、若い頃よくある憧れ、さらに嫉妬や憶測など、決して綺麗なだけじゃない人間の感情が渦巻く、でも純粋。
何とも言えないアンバランスさが心地良い、素敵な作品でした。