皆さんは「妖怪」と聞くとどのようなものを思い浮かべるでしょうか?
恐らく、多くの人は「恐ろしいもの」を想像し、できれば遭遇したくないと思うでしょう。
しかし、ひとたび『夏目友人帳』を手にとってみれば、
そのような妖怪に対するイメージはたちどころに吹き飛んでしまうかもしれません。
その理由のひとつとして、『夏目友人帳』はアニメも第6期まで放送され、OVAや音楽朗読劇など、様々なメディアで公開され、人々を魅了した作品でもあります。
『夏目友人帳』は、幼少期に両親を亡くして以来、
親戚中をたらいまわしにされ続けている男の子。
そんな不遇な生い立ちを持つ高校生「夏目貴志(なつめ たかし)」が『夏目友人帳』の主人公です。
しかし、なぜ、夏目は親戚中をたらいまわしにされているのか…
それは、夏目には他の人には見えない妖怪が見えていたからでした。
夏目は妖怪が見えることで妖怪に絡まれることが多く、
そのせいで他の人の目には挙動不審に映り、気味悪がられていたのです。
そのことで、周りとのかかわりを避けていた夏目も
心優しい藤原夫妻に引き取られてからは、穏やかな日々を過ごすように。
夏目は相変わらず妖怪を見たり絡まれたりしていましたが、穏やかな日々を壊したくない一心で、
妖怪から必死に逃げていました。
ところが、いつものように妖怪から逃げていたある日
祠の周りに張られていたしめ縄に躓き、引きちぎってしまいます。
すると、祠がパカリと開き、かわいらしい「招き猫」が現れたではありませんか。
これには夏目も思わず吹き出してしまうのですが、
なんとその招き猫、思いがけない言葉を発したのです。
「お前 夏目レイコじゃないか……」
招き猫が口にした名前…。
夏目レイコとは、夏目の祖母。
いつも妖怪に勝負を仕掛けて妖怪を打ち負かし、
妖怪の名前を集めて「友人帳」に綴じていたという不思議な人物です。
そして、なんでも、友人帳を持っていれば、友人帳に名前がある妖怪を使役できるらしく、
友人帳は妖怪にとって喉から手が出るほど欲しいものなのだとか。
実は、夏目は友人帳を祖母の遺品として受け継いでおり、そのことも相俟って、
妖怪に絡まれていたのです。
招き猫の話を聞いた夏目は、妖怪たちに名前を返していくことを決意したのでした。
夏目は友人帳に綴じられた名を妖怪たちに返していく中で、
人間も顔負けの、情感豊かな妖怪たちと出会います。
夏目と妖怪が心を通わす姿に思わず涙が流れたり、心が温まったり、心が揺さぶられる人も多い事でしょう。
最近心が寒々としていると感じている人は、ぜひ『夏目友人帳』のページをめくってみてください。
きっと今まで感じことがないほどに、心が温かくなりますよ。